どうやらイスランにステンダールの番人が助けを求めに来ているようなのだが、イスランの態度はけんもほろろといった感じだった。
イスラン「拙者は申したであろう、お主らがごとき成しようにて御意ずれ手痛ゐ反撃を受けて死ぬことになると。それがしのほう、正論を申したに、うぬらはそれがしをうつけ者にしたでござるな。 しかるに今さら助けを求めるとか?」
トラン「おめが正しがたのはもう充分サわがたン。すまながった。 おめサ反対していたカルセッテはもう死んだ。こい以上我々サ何ば求まなぐら?」
イスラン「すまん。かのようなことは望んにはゐのうこざった。 せっしゃただに、ご注進したかったでござるのみにてなんじゃ……」
「わかるかよ!!」
私が思わず突っ込むと、イスランがこちらを振り返る。
「お主は何奴じゃ。所望は如何に?」
「いや……お願いだから標準語で喋ってください。何時の時代のアカヴィリ人ですかあなたは」
※アカヴィリ人:すっごい昔に侵略しに来た人種。いかにもJapanな感じの装備や刀を持っていた。
「それがし、アカヴィリ人であると罵成敗るとか? 貴様は何殿じゃ」
「えーいうるさい!! こっちは入団希望者です! 分かる言葉で喋ってくれないとわからないでしょーが!」
「なんだ、早くそう言え。 君は見るからに見に覚えがありそうだな、気に入った。我々がこの砦を再建している間に、吸血鬼に戦いを挑む者が必要なんだ。入団を許可しよう」
「え、そんなあっさり……」
「というわけで最初の君の任務はディムホロゥ墓地に向かって欲しい。トラン達がそこで何かを見つけたようだ。おそらく吸血鬼に関するものだろう。トランと一緒にそれを調査して欲しい」
「アッハイ」
「それとこれを持っていけ。ボウガンだ。弓より簡単に扱えるし強力だ」
外で誰かが撃っていたあれのことだろう。
「あ、それはいいです。私にはもっと頼れるものがあります」
そう答えてライフルをパシンと叩くと、彼は怪訝な顔を隠さない。見たことのないものだから信用ができないのだろう。
「……そうか。ではよろしく頼むぞ。ところでそこで隠れている君は誰だね?」
「は、はいボクも入団希望です!」
その後、イスランはちゃんと標準語で別の新人にボウガンの撃ち方を熱心に教えていた。気むずかしい人ではあるが、悪い人ではない。だからなんだかんだいって、みんな集まってくるのだろう。
早速ディムホロウ墓地に向かうと、案の定なことが起こっていた。
二人で一緒にいけばこうはならなかっただろうに、と後悔が私を襲う。
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スパッ |
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よくよく見ると、ローブに籠手とブーツだけ。これじゃあ死ぬよ |
「対決、ゾンビドラウグルVSヴァンパイア!」
みたいな感じだろうか。両者をさくさく殺しながら先へと進む。
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途中で大蜘蛛を殺してくれたヴァンパイアに心のなかで感謝を捧げながら撃ち殺す。 |
生き残っていた番人を拷問死させた吸血鬼の連中も、さくっとあの世に送ってやる。
そもそも吸血鬼になっただけで巨大な力を手に入れたと考えるのは大間違いだ。何も努力しなければ私のような小娘にさえも簡単に殺されてしまう。
本を読んで少しばかり休憩した後、目の前のあからさまな儀式の祭壇へと向かう。
「ん?なにこのボタン」
「ギャーーーーーーー!」
「ウアー!?」
「ウァァァァァ!?」
といった感じに仕掛けをとくと、中から六角柱がせり出してきた。なんだろうこれ、と触ると、パカリと面の一つが開く。そこに入っていたのは……
「おばさんだ」
おばさんだった。
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