2014年3月5日水曜日

斬首台から動き出す 【1】


偶然見つけた誰かの隠れ家で私は状況を整理する。ここの本来の持ち主は膝に矢を受けて死んでいたので、私が使っても問題ないだろう。遺書も整理整頓してあげたし。


元々私がスカイリムに来た理由は、自分の父親を探すためだ。何の仕事をしていたんだか知らないが、いつも家にいなくて私の母を苦しませたし、挙句の果てに戦争にかこつけてどこかに消えた。

白金の塔が眩しいあの帝都が懐かしいが、父親を探して殴り倒すまでは家に帰らないと決めたのだ。家も、待つ人も、今ではいない。自由になったのだから、自分のしたいことをすることにしたのだ。



そうしてタムリエルの国境を越えた辺りで、私はこれからの人生で二度と遭遇しないであろう出来事に遭遇した。




目の前で人の首が切り落とされ、誰もが淡々と自分の仕事をこなす様など、今後一生見ることはないだろう。国境を越えていた私は反乱軍だと思って捕まえられ、事情も聞かれずに処刑されることになった。
ふざけるなと声をあげたが、帝国軍の書記は口ではかわいそうになどと言うくせに、私を助けてはくれなかった。それと同時に、自分がこんな状況に追い込んだ父を憎悪した。死ぬ瞬間まで父都の過去を精算できずに終えるなんて、耐え難かった。
そして私のような子供を躊躇なく殺す彼らを、何度も畜生と罵った。
次はお前だ、子供。
その言葉に足が竦んで動けなかった。
目の前の全てのものが悪い夢だと思いたかった。
誰かがこの悪夢を終わらせてくれると思いたかった。
神も捨て、母の骸も捨てた私に祈る相手もいなかったが、それでも誰かに祈りたかった。


斬首台から見上げた空は、今まで地面ばかり見て歩いていた私には新鮮で、とても美しかった。
だがこの空のように、この場にいる人間の運命もまた、一瞬にして表情を変えた。


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